Order Made MEMORIES

オーダースーツを作ろうとする方は、何らかの思いをカタチにしたいと考えておられるはず。
だからこそその思いが、記憶となってスーツと結びついているものです。
本サイトでは当店がこれまでにご注文いただきましたお客様の、大切な思い出となったストーリーをご紹介いたします。

MEMORIES


MEMORIES.01

花婿からの贈り物

「お義父さんに、記憶に残るプレゼントを」

自分にとって大切な奥様を、これまで大切に育ててこられたお義父さん。その方に感謝の気持ちを伝えたいと考え、思い出していただいたのが当店でお作りいただいたオーダースーツでした。普通であれば、実の父親に感謝を伝えるのにも恥ずかしさを覚えてしまうもの。しかしこのお客様は奥様と相談なされた上で、「記憶に残るプレゼント」としてお義父様に「オーダースーツ」をプレゼントすることに決められたそうです。ご本人が当店でオーダースーツをお作りいただいた際にとてもご満足いただき、その印象を強く持ってくださっていたことが発端だとお聞きし、店主として本当に嬉しく思いました。

「奥様・お嬢様と生地を選ぶ、お義父様の幸せそうな笑顔」

ご来店いただいた際には、お義父様とお客様ご本人だけでなく、お義母様とお嬢様、お孫さんまでもが一緒にお店に来てくださいました。中でもお義母様とお嬢様と一緒に楽しそうに生地やボタンを選んでおられたお義父様の姿が印象的でした。そして終始ニコニコと、誰よりも嬉しそうにしておられたのは娘婿であるお客様ご本人でした。「オーダースーツ」というプレゼントをお喜びいただいたことはもちろんですが、こちらのお客様はお義父様に、それ以上の「家族の笑顔」「暖かな繋がり」をプレゼントされたのだなぁと深く感銘いたしました。

そのお手伝いができたことを嬉しく思うと共に、私どもテイラーの仕事はスーツを作ることが全てではない、と改めて感じさせられた出来事でした。


MEMORIES.02

想いを胸に宿す

「会社の社是をイタリア語にして」

大学院卒業を控え、卒業式と入社式に着用するスーツを作りに来てくださったお客様。とてもスムーズに全ての仕様が決まっていき、最後にネーム(胸内側の刺繍)を何にするかという話しになったときのこと。お客様はとても真っ直ぐな目で私を見つめ、「会社の社是を入れてください」とおっしゃいました。お話を聞きますと、お客様は何よりもその理念に共感し、入社される会社を選ばれたそうです。また「先輩や上司にも愛社精神を上手くアピールできると思いますし!」とお茶目な一面も見せていただきました。そこでただ社是を入れるだけでは面白くないと、その社是をイタリア語に変換してネームとして入れさせていただくことに。イタリア語の響きがとても優雅であることと、あまり直接的にならず遊び心を加味したいと考えたからです。後日、「先輩に見せたらとても面白がってもらえましたよ!」と、私としても嬉しい報告をいただけました。


MEMORIES.03

黒に込めた想い

「真っ黒なスーツはおかしいでしょうか?」

司法試験に合格し、憧れていた弁護士になるための研修を終えられ、いよいよ実務に就かれることになったタイミングでご来店いただきましたお客様。このお客様は、とても控えめな性格ながら誠実で非常に強い芯を感じさせる方でした。そんなお客様が、生地選びの際に黒の無地のものが気に入られたようで、冒頭の質問をされたのです。私は一般的にビジネスで黒のスーツを着用することはふさわしくないことをご説明させていただいた後に、こう続けました。「ですが、裁判官が“何者にも染まらない”という理念を象徴するために黒衣を纏うという由来から、お客様が仕事着として黒のスーツを身に纏われることは決しておかしなことではないように感じます。またお客様の個性と“黒のスーツの持つ誠実な印象”がとてもマッチしているようにも思います。そして何より、お客様ご自身が黒をとても気に入っておられるようですし!」セオリーやマナーを踏まえることはとても大切なことですが、時には敢えて既成概念にとらわれず、自分だけの想いを込めることが出来るのがオーダーの魅力ではないかと考えます。こちらのお客様ですが、この決意の過程にも、もちろんスーツの仕上がりにも、たいへんご満足いただけたことは言うまでもありません。


MEMORIES.04

以前のと同じものを

「以前と全く同じ仕様で作ってください」

ご友人が、一年ほど前に当店でお作りくださったという方から連絡をいただきました。「友人の結婚式のお祝いに、サプライズでスーツをプレゼントしたいんですが、彼が以前に作ったのと全く同じ仕様で作っていただくことは可能ですか?」とのこと。それでは、ということでお店まで来ていただき、生地・裏地・ボタンなどだけをお選びいただきました。そしてそれ以外はご本人さんが以前にお作りいただいた仕様をそのままに、スーツを一着作らせていただきました。出来上がったスーツを式当日に持参し、直接新郎へ手渡されたところ、それは大層驚かれたとか!新郎もまさかスーツを、それもオーダーで作ったものをプレゼントされるなんて予想だにされなかったでしょうね・・・。後日、ご結婚されたお客様から連絡をいただき、「マジでびっくりしました!そちらで作らせてもたっらスーツが一着増えたことも嬉しいですし!」とおっしゃっていただけました。機転の効く、リサーチ上手なご友人の大勝利!という一件でした。


MEMORIES.05

ご両家顔合わせの場

「あなたが本当に着たいスーツを」

ご結婚のための大切なご両家の顔合わせ。その際に着用するスーツを作りにご来店いただいた若いお二人が、価格の違う生地をどちらにするか悩まれているご様子でした。「どっちもええねんけど、これから色んなことにお金を使うし、こっちの安い生地の方にしとこっかなぁ…」とはご本人の言葉。ですがそれを聞いた彼女さんが「せっかくの機会やし、あなたが本当に着たい生地でスーツを作ったらええよ。私はこっちのほうが似合ってると思うけど!」と上のクラスの生地の方を指しておっしゃいました。私自身は、それぞれの生地の持つ特徴や与える印象の違いだけを伝え、敢えてどちらがお薦めだなどとは口にせず、お二人の決断を見守らせていただきました。お客様ご本人も彼女さんの言葉に少し気持ちが和らいだようで、じゃあこっちの高い方に、いやでもなぁ・・・なんておっしゃっていましたが、最後には未来の奥様の「ここで多少金額が嵩んでも、他のところで引き締めたらええだけやから、思い切ってこっちにしよう!絶対にこっちが良いって!」という心強い言葉に脊中を押され、ついにご決断いただくことになりました。そんなお二人のやり取りを見て、あぁきっとこの2人はこれからも上手くやっていかれるだろうなぁと、ほっこりした気持ちにさせられました。スーツをご納品させて頂いた際のお二人の笑顔が、末永く続くことを願っております。


MEMORIES.06

婚活のための勝負服

「素材と素材の良縁が、素敵なスーツを作る」

長く独身生活を満喫してこられたお客様。とはいえそろそろ本腰を入れて婚活を、ということでご来店いただきました。これまでは服装に関してあまり拘りがなく、特にスーツに関しては無頓着だと仰っておられたので、細かく丁寧にあれこれとご説明させていただきました。すると、「スーツがこんなに奥深いものだったとは知りませんでした!」と非常に驚いていただけることに。そこからは「この裏地ってこの生地に合いますかね?」「このボタンも良いけどこっちのも良いし、どっちが良いかな・・・」と、非常に熱心に素材の組み合わせを選び出されるお客様。「これは楽しいですね!ここまであれこれ決めてると、仕上がりがメチャメチャ楽しみになりますね!」と、すっかりオーダーの醍醐味にのめり込んでいただけたご様子。その時にふと「こういう素材の組み合わせと、男女の出会いや組み合わせも、同じようなものかもしれませんねぇ」と冗談目かしくおっしゃったお客様の言葉がグッと私の胸に刺さりました。男女の出会いもそうですが、お客様とお店との組み合わせもきっと同じようなもの。出会うタイミングや相性が非常に大切であることも共通点でしょうか。当店との相性に負けないくらいの、いやそれにも増して相性抜群の女性を見つけられることを心よりお祈りいたしております!


MEMORIES.07

サプライズへの手助け

「絶対にバレないようにしてください!」

「作っていただいたスーツが、会社の若い子たちにとても評判が良くて!」こんな嬉しいお言葉をいただけるとは、本当にテーラー冥利に尽きるのですが、その後に続く言葉が更に私を喜ばせてくださいました。「今度うちの後輩が誕生日を迎えるので、その時にサプライズのプレゼントをしたいんです!」これ、非常にありがたいご依頼なんですが、ただ残念なことにその後輩の方は、まだ当店にご来店いただいたことすらなく・・・。その後輩さんは広告デザインのお仕事をされているらしく、そこで我々で一計を案じることに。当店の広告を作るためのヒアリングということで、オーダースーツを作る際のあれこれを後輩の方に実際に体験していただき、そのやり取りの中でオーダーの内容を確定させてしまおう!という、かなりアクロバティックな作戦に出ることとなったのです。「この生地ならこれくらいの金額で、こっちならこれくらいで〜」「裏地とかボタンとかも選ぶんですけど、この生地やったらどんなのが良いと思います?!」「採寸はこんな風にするんですよ〜」「今時は大体これくらいの長さが若い人には好まれますね〜。ちなみにどれくらいの長さがお好きですか〜?」とかいった具合に。

「サプライズ、まさにその現場で」

結局後輩さんには全く気づかれることなく、オーダーに必要な情報を全て入手することが出来ました。そして別名義のパーティーの最中に、司会進行役の後輩さんにサプライズで仕上がったスーツをお渡しするので、ぜひいらしてくださいと、私もお招きに預かりました。こちらのお客様は、いつも親身になって自分のために動いてくれている後輩さんに是非とも日頃のお礼がしたいとのこと、また性分として「できるだけ思いっきりビックリさせたくて!」とのご要望でしたのでこのような形となったわけです。ですがまさか私自身がその実際の場面を目にするとは想像もしていませんでした・・・。スーツを手渡された際の後輩さんのあっけにとられた様子。とにかく着替えろと言われて、訳がわからないまま着替えさせられている困惑した様子。当店でのやり取りがそれであったことを知らされて驚きと納得の後に押し寄せる喜び。涙にまみれて喜ばれている様子を見せていただけたこと、それ自体がとても貴重な体験をさせていただいたのですが、それにも増して、それだけのサプライズのお手伝いができたこと、またその依頼を私に頂けたことが何よりの喜びでもありました。パーティーの最後に後輩さんから「演技がうまいですね!」と褒めていただけたことも一つ、追加の喜びでしょうか・・・。人を喜ばせることに人一倍熱心なこちらのお客様。これからもそんなお客様のお手伝いができれば、こんなに嬉しいことはありません。


MEMORIES.08

オーダーメイドの実力

「落胆した初オーダー」

ある日、少し警戒された様子で一人のお客様がご来店されました。私としても少し訝しく思いながら、あれこれとお話を伺っていくと「以前に作ったオーダースーツの仕上りが思っていたのと違うくて。でも諦めきれなかったので、こちらのお店でお話を聞かせてもらいたい」とのことでした。具体的には、「小さな生地見本で見たものと実際の仕上がりとでイメージが違った」「思ったよりも着心地が良くない」「どうもシワが気になる」「雨に濡れただけで衿がヨレヨレに」といったことがご不満の内容でした。そこでご友人から当店の噂をお聞きになり、色々と教えていただきながらオーダースーツに再チャレンジしたいのだとおっしゃられました。意を決して初めてのオーダースーツを注文したものの期待通りの仕上がりにならず、非常に落胆されたというお話を伺い、私としましては「次のオーダーではなんとしてでもご満足いただきたい!」と気持ちを強く持つに至りました。確かに小さな生地見本を見ただけで仕上がりをイメージすることは慣れている方でも中々難しいことですし、ましてや初めてオーダーされる方にとっては上手くイメージできないとしても無理はありません。

「最良へと導く仕事」

ですがそのギャップを埋めることが、まさに我々テイラーの腕の見せどころでもあります。おそらくこのお客様の初めてのオーダーは「お客様の選択」のみを優先したものであったのだろうと想像します。オーダーをしていただく際に、もちろんご本人のご希望を尊重いたします。ですがその仕上がりのイメージを少しでも正確に表現し、お客様にとってより良い選択をしていただく、お客様の想いを少しでもより良い形で実現する。そのために出来うる限りのことをする、それこそが我々テーラーの努めです。様々なやり取りをさせていただいた中で当店にご納得いただけたようで、こちらのお客様からリベンジとも言うべきオーダーをいただくことができました。仕上がったスーツを手にされて、「想像していたよりもカッコイイです!」「こんなにも肩が軽い!」「シワって霧吹きだけで取れるんですか!?」と幾つかの驚きと共に大変喜んでいただくことができました。「お金を貯めて、また次のスーツを作りに来ますね!!!」と言っていただけたことで、私としてもホッと胸をなでおろした次第です。オーダースーツに対する悪いイメージを持つお客様を一人でも減らせたこと、多少は業界に貢献できたかな?とも。これからも、おひとりでも多くの方にご満足いただけるよう仕事に邁進してきたいと更に襟を正した出来事でした。