オーダースーツ専門店 “Peperoncino-SARTO"

スーツの分類(5)

これまで4回に渡りお届けして参りました 「スーツの分類」 について、そのご説明もそろそろ終わりに近づいて参りました。

 

今回取り上げます項目は 「デザイン・ディテール」「内容物」 に関してです。

 

 

それでは早速、 「デザイン・ディテール」 に関してのご説明を・・・、

 

とその前に、それを説明する前に、まずは 「モデル」 と呼ばれる物に関してご説明いたします。

 

スーツなど多くの洋服にはこの 「モデル」 というものが存在します。これは 「仕様」という言葉に置き換え得るもので、既製服はもちろんオーダースーツにおいても存在し、洋服の基本となるものです。

 

以前に 「パターン(原型)」 についてご説明いたしましたが、そちらは寸法上の全てにおける服の基本となる物でした。

そしてこの 「モデル」 という物は言わばそれのデザイン版(外見上の基本)とでも言うもので、それは寸法だけに留まらず様々な部位の形状など細部に渡り基本となる「型」を規定するものです。

もし一言で表現するのであれば、「全体としてのイメージや細部のデザインなどを織り込んだ基本となるデザインをまとめたもの」であると言えます。

 

 

例えば一例を挙げると、

 

 

「スリムフィットで若々しい印象を与えるスーツ。ラペルは細身のナチュラルショルダー。着丈・パンツ丈は短めの、着用者の軽やかさが際立つ爽快スーツ」

 

 

「落ち着いた雰囲気を醸し出す大人のスーツ。低いゴージラインと太めのラペルが対面する相手に安心感を与え、パンツ裾もダブルにすることで安定感を演出します」

 

 

 

などと言った表現のコピーを、店頭や雑誌などでご覧になったことがあるかと思います。

 

 

このような「統一感のある全体の印象」を取りまとめたものがこの 「モデル」 で、既製服などでも一つのブランドの中に複数のモデルが存在します。
また、いわゆる 「メゾン」「ハイブランド」 と呼ばれるブランドではこの「モデル」が非常に先鋭的な物を採用しているということが特徴として挙げられます。

「身頃巾・腕巾」「肩形状」「着丈・パンツ丈(股上・股下)」「ラペル形状・種類・太さ」「ボタン仕様(3つボタン・2つボタン・1つボタン)」「タック(パンツ)」などといった部位がそれぞれ微妙に、絶妙に、設定されているのがそれぞれの 「モデル」 ということになります。

 

 

 

 

さてこの 「モデル」 という物はオーダースーツであっても存在すると先ほどご説明いたしましたが、この「基本となるデザイン(仕様)」からいかに変更を加えることが出来るのか、というところがこれからご説明する 「デザイン・ディテール」 のお話となります。

 

 

こちら表8となります。

基本となる 「モデル」 から、様々な変更を加えることが出来る物が 「イージーオーダー」「フルオーダー」 となります。

 

 

 

 

まず 「フルオーダー」 ですが、これはもう全てにおいて想いのままに設定することが可能です。

先程「オーダースーツにもモデルが存在する」と書きましたが、この 「フルオーダー」 に関しては職人さんによって固定の 「モデル」 をお持ちの方もいらっしゃいますし、逆にそういった物を全くお持ちでない方もいらっしゃるようです。

ですがそこは長年の経験とセンスからいわば 「セオリー」 のようなものをお持ちですので、お客様に応じて自然と選択肢は限られていくという“モデルに準じた規定”を持っておられます

 

この 「規定」 こそが、それぞれの職人さん(テーラー)の持つ特色であり腕前であり味わいであるわけです。

オーダースーツ全盛期の頃はこの 「テーラー・職人の個性」 を吟味しながらお店探しを楽しまれていたお客様がたくさんおられたそうですし、実際にそのようなお客様からのお話も伺ったことがあります。

そういった楽しみ方が出来るのが「オーダースーツ」の何よりの醍醐味と言えそうです。

 

 

次に 「イージーオーダー」 に関してですが、こちらも基本的には多くの部分の設定を変更することが出来ます。

まず複数の 「モデル」 が用意されており、そのふさわしいモデルから変更・微調整を行うことで様々な要望にお応えできる体制を整えているのがこの 「イージーオーダー」 です。

ただこれも 「どこまで可能か」 は店舗や工場によってその自由度には違いがありますので、このあたりも少しだけ注意が必要かもしれません。ご自身の希望がどの程度まで叶うのか、勇気を持ってお聞きなさることをお勧めいたします。

 

 

最後に 「パターンオーダー」 に関して。

実はこのパターンオーダーに関しては、多種の変更を施してもらえるような店舗はあまり多くはありません。と言うより、ほぼ受付けていただけないと思ってもらって間違いありません。

変更可能なものとしては 「ラペル形状」「(腕巾・袖巾の)細身の設定」「ジャケットの前開きの選択」 などですが、これらも変更できないことのほうが大半です。

逆に言うと、これらの変更に応じてもらえるパターンオーダーのお店は良いお店と言えるかもしれません。

 

 

と、ここまで 「いかに多くの点で変更に応じてもらえるか」 についてお話を進めてきましたが、ことはそう簡単で単純なわけでもなく・・・(笑)

 

 

これは既製服にも言えることですが、最初に述べた通り 「モデル」 とはそれぞれの企業やブランド専門家が導き出した「最適」を形にしたものだと言えます。

それは「時代・流行」を加味していることはもちろん、多くの実績の中から生まれた 「最適」 であり、多くの方にとって満足の行く一品であることは間違いありません。

 

逆に言えば、個人の好みでその「最適」を狂わしてしまうことにもなりかねない、という側面もあるわけです。

 

 

要するに、「変更を施すことが出来るかどうか」ということが重要なのではなく、個々人のお客様に合わせて「いかに変更を施すのか」が重要となるということになります。

 

 

ここが先のフルオーダーと同じく、お店や店主・販売員の実力と言えるわけです。

そこはまあきっと、 “相性” というものも大きいと思いますがね!

 

 

もしその実力を備えたお店をご存じないという方おられましたら・・・、

ぜひ当店にご連絡いただければと思います

 

 

 

そんなわけで、 「デザイン・ディテール」 に関して、表でご覧いただいた通り変更の可能な物とそうでないものが存在し、それも闇雲に変更できればそれで良いという訳ではなくその取捨選択のセンスが命、だということをお分かりいただければ幸いです。

要するにそれが言いたいわけです(笑)

 

 

 

この 「デザイン・ディテール」 に関して、どういった物の変更が出来るのか?といったより具体的なお話はまたあらためてご説明することと致します。

そちらもお楽しみに・・・。

 

 

 

 

それでは次の 「内容物」 に関してのご説明です。

 

この 「内容物」 とは読んで字のごとく内側に使われている副資材のことを言います。

スーツではジャケット前面に 「芯地」 が使われており、肩には 「肩パット」「たれ綿」 と呼ばれるものなどが使われています。

これらは 「ジャケットの構築」 という言葉の通り、ジャケットの形状を保つため、あるいは美しい仕上がりを実現するために用いられる物で、実はこれがかなり重要な役割を担っておりまして・・・。

 

 

その内容物に関しての違いを加味したものがこちらの表9となります。

 

内容物の中でも特に 「芯地」 に関してはそのバリエーションは非常に幅広く、ぶっちゃけ価格的にもそれなりの差異が存在します。

 

そしてそれが製品の価格にも色濃く反映しているというのが実際のところです。

特に昨今の廉価品ではその色合いが強く、先の 「縫製」 に関する部分と相まってこれらによるコストカットが大いに行われています

 

スーツ生地の良し悪し(高級品かそうでないか)はある種一目瞭然でもありますので、見えない部分でのコストカットに精が出てしまうのもある意味やむを得ない部分もあるかとは思うのですが・・・。

多少不誠実な印象を抱かないわけにはいかないなと個人的には思っています・・・。

 

 

さらに追記すると、「イージーオーダー」以上ではやはりスーツ生地自体に高価なものを使うことが多いので、内容物にあまり安価な物を用いると性能面での不具合が生じるという側面もあります。
やはり良い素材(スーツ生地)にはそれに見合った内容物が必須となることは当然といえば当然。中と外の素材にチグハグさがあるようでは、やはり良い物は出来ないということでしょうね。

 

 

 

というわけで、

内容物にも多少の違いがあり、それは商品のクォリティやこだわりによりそれは大きく反映されている。もちろん価格にも・・・。

というお話でございました。

 

 

 

 

というわけで今回のご説明はこのあたりで終了とさせていただきます。

 

これでひとまず、スーツの“作り”に関する分類のあれこれを全てご紹介したこととなります。

 

 

ですが!!!

もう一つ何よりも重要な項目が一つ残されています。

 

 

 

それは・・・、

 

 

 

「価格」 についてですね!

 

 

 

とは言えこの価格に関しては非常に幅の広いお話になってまいります。

なかなか簡単に“まとめる”というわけにもいかないのが現実ではありますが・・・。

 

 

そこは少し強引にでも、なんとかまとめていければなと思います。

それこそ、これまでにご説明してきましたあれこれが、結局は価格に反映(転嫁)されているということではありますので、多少はご理解いただきやすくなるかと思います。

 

 

 

商品を購入する上で切っても切り離せない、なんなら何よりも重要な 「価格」 のお話。

 

 

次回、それらについてご説明いたします。

そうか、なるほど!
と思っていただけますようしっかりとご説明できますことを目指してがんばります。