オーダースーツ専門店 "SARTO"

スーツの『ス』

当店でオーダースーツの取扱いを始めたこともあり、今回より幾回かに分けてスーツに関するアレコレをご紹介します。果たして何回に分けるのかはお楽しみということでひとつ。(ネタバレ注意)

ではまず、さっそく明日からでも始められるスーツの基本を。

ボタンの留め方です。

『二つボタンのスーツは上だけ、三つボタンは真ん中だけを留める』

これが基本です。

街行く人を眺めていると意外と知られていないのかなと思うことも多いです。
もちろんこれが基本と言うだけで、自由な留め方でいいとは思うんですが、『本来はコレ!』を、知ると知らずでは大違いですよね?

さらには『椅子に座ったらボタンは全て外す』

これもそうです。

いずれも「立ち姿」「座ったときの見映え」を美しくするとともに、それが生地を傷めにくく、一番楽だからです。変な皺がよったりしません。

若い方は、いわゆる「作法」としても知っておくのも良いでしょう(^^)

では次に、スーツを選ぶ時に意外と悩む『二つボタンか三つボタンか』です。ダブルはここでは置いときます(笑)

これはですね・・・

「脚の短い人は二つボタン、脚の長い人は三つボタン」!!

言い切ってしまいました(笑)

実はこの理由は『Vゾーン』にあります。

三つボタンのスーツ(ジャケット)は、上のボタンは掛けないにせよどうしてもVゾーンが狭くなります。ということはある種胸元に『寸詰まり感』が出てしまいます。逆に言うと胸から下が間延びします。
ということは、股下までの距離が長く感じてられてしまって・・・。

というわけで私は二つボタンです(笑)

イタリア風の「段返り三つボタン」などもありますし、実はそれぞれのスーツでVゾーンの広さも違うのでもちろん一概にはいえません。ただVゾーンはネクタイやシャツが見えることで、最も目線を惹きつけやすい部分。そこのバランスが、どうしても全体の印象に大きく影響を与えてしまうというワケです。

ということで、誤解を招かないようキチンと言い換えるならば、

『脚の短い人はVゾーンが広い方が良く、脚の長い人はVゾーンが狭くてもOK』となります。

総じて「日本人には二つボタン」と云われる所以です。脚の長さに自信の無い方はくれぐれもご注意下さい・・・(^^;;

ちなみにこのボタン位置(Vゾーンの広さ)、わずか1cmでもずいぶんと違いますし、2cmともなれば大きく印象が変わります。良かったら一度、鏡の前でピンやクリップででも試してみてください。たかだか数センチですが、侮れませんよ!

また着丈との兼ね合いもあるんですが、その話はまたの機会に。

さてさきほど「イタリア風」と書きましたが、最後に一般的に云われるスーツのテイストの違いをご説明いたしましょう。大きく分けると『英国風』『イタリア風』『アメリカ風』の3つです。

まずはイギリス。
スーツ発祥の地で、その特徴は一言で言うなら「カッチリ」。厚いパッドや毛芯でしっかりとフォルムを構築します。生地も重厚なものを用いることが多く、その作りと共に「カッチリ」を作り上げます。特徴ある仕様としては『チェンジポケット』などがあります。

お次はイタリア。
英国風のスーツを自分達好みにラテンの風を取り入れ「楽で色気のある」スタイルにアレンジ。軽やかな着心地を重視する傾向があり、独特の生地使いやしなやかで艶のある生地を好んで使うこともしばしば。肩や腕まわりを細くしたり、身体に添ったラインのモノが多くを占めます。特徴的な仕様は『段返り三つボタン』などです。

最後はアメリカ。
何と言ってもビジネスの国。『パワードレッシング(服装で相手を威圧・飲み込むこと)』に代表される「力強さ・男らしさ」を全面に押し出したスタイルです。大きく張り出した胸元や豊かな胴体を強調する「ボックス型」のラインが特徴で、ラペルも大きいモノが好まれたりします。

今回は歴史的経緯も含め、「本国」「ラテン」「新大陸」と便宜上で分けましたが、ここにオシャレに関して非常にウルサいフランスが割って入ります。
「ラテン」ともまた違う独自のフィロソフィーがあるんでしょうね。「優雅」「華美」といったイメージを強く押し出すお国柄ですから、スーツにおいてもそういったディテールを多く生み出してます。

さて繰り返しになりますが、これらはあくまで便宜上のもの。今やブランドの出自に依らず、様々なテイストが交錯しています。
ただ「これはイタリア由来」「これはイギリス」といったディテールが存在するのみといっても過言ではありません。

でも実際にスーツを購入・仕立てる際は、こんなコト深く考えることはありません!(笑)

それよりは、どういった目的で使うスーツなのか。それには果たしてどういったスタイル・ディテールが良いのか。それを念頭において考えることが一番ですよね。そして何よりも自分にどれが一番似合うのか!!(^^)

というわけで、『スーツのス』はここまでです。
では次回、スーツを選ぶ際に寸法や生地・構造などで気をつけるコトのお話。

それでは次回もお付き合いのほど、よろしくお願いいたします。

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